新規事業は思いつきではなく、社内や社外の環境を分析したのちに見つけ出すことができます。この記事では新規事業立案のための分析方法と、事業を成功させるためのポイントやコツを解説しているので、「上司を説得できるプレゼン」のために参考にしてください。
新規事業が思いつかないときの着想法5つ
新規事業が思いつかない場合は、内部環境と外部環境を分析して既存事業の強みを知ることから始めるとスムーズに着想できます。
新規事業を成功まで導くには競合に勝てる強みが必要です。「自社が競合に勝てることは何か?」を考えて読み進めることで、自社の強みが生きたアイデアを発想できるでしょう。
1.自社のSWOT分析をする
SWOT分析は内的要因の「強み、弱み」と外的要因の「機会、脅威」で図る指標です。
既存事業が上手くいっているのであれば、成功の理由を調べることで自社の強みや外的要因を分析することに繋がります。自社を調べ尽くした後は強みを生かして参入できそうな業界を見つけましょう。
自社の強みや他にないノウハウを把握しておくことで、新規事業案を立てるときに役立ちます。強みと絡めて立案することで説得力のある事業計画を作成でき、新規事業を立ち上げたあとの成功率を高めることに繋がるでしょう。
2.競合のSWOT分析をする
自社の強みを生かして参入できる業界のめどがついたら、競合となりうる企業の分析をします。競合のSWOT分析をすることで「自社が戦える業界なのか」「付け入るチャンスはあるのか」を知ることができます。
競合の強みと弱みを調べて市場の穴を知れば、新規事業がどの立ち位置で優位を取れるかを明確にでき、競合が少ない領域で戦わずして成功する事業を展開していけるでしょう。
3.他業種の成功例を真似する
新規事業が思いつかない理由の一つに、革新的なアイデアを求めすぎていることが挙げられます。しかし既存のビジネスモデルを真似ることで新規事業が格段に思いつきやすくなり、サービスを決めるきっかけを作ることができます。
一つ例を紹介すると、一定期間分を支払うことでその期間サービスが使い放題となるサブスクリプションは、未来の収益が予測できる点にあります。一方のデメリットは使い放題と言える量のコンテンツが必要なため、初期費用がかかります。
ビジネスモデルは例で示したようにメリットとデメリットが存在するため、新規事業の内容に合わせて決める必要があります。
4.ユーザーにとっての価値を考える
ユーザー(顧客)は悩みや不満を解消するサービスに対して価値があると感じます。新規事業が思いつかないという方は、顧客の悩みを把握することで新規事業やサービスの案を立てられるようになるでしょう。
コツは「顧客の欲求に訴えかける」サービスを意識することです。
・子どもが大学に行くから収入を上げたいからビジネス教材のサブスクリプションに登録する
・綺麗に見られたいから服を買う
欲求は人が行動する上での原動力となります。利益を大きくしたい場合はより多くの欲求を満たすことで実現できるでしょう。
5.海外の事例を真似する
国内のビジネスモデルは情報収集が容易で真似をしやすいです。しかし海外の企業を参考にすることにより、「海外から10年遅れ」と言われる日本に最先端のビジネスモデルを取り入れられる可能性があります。
海外企業を参考にして日本で新規事業を立ち上げる場合は外的環境が変わるため、「日本で使うなら」という視点を持つことが重要になります。
日本にとっては最先端の革新的なビジネスモデルを参考にできるため、読者の方が考えた新規事業が注目されること間違いなしです。
新規事業を成功させるコツ
新規事業のアイデアを出すことは難しいですが、立ち上げた新規事業が失敗するケースが多いです。成功する可能性を少しでも上げるためのコツを紹介します。
MVVを明確にする
「ミッション(Mission)」「ビジョン(Vision)」「バリュー(Value)」から構成されるMVVは、新規事業の存在意義と目的や目的の達成のための方法を明確にするフレームワークです。
新規事業立ち上げ後はプロジェクトメンバーが次々と問題に追われ、真の目的を見失ってしまうことがあります。
新規事業では問題を解決することも重要ですが、それ以上に事業目標に向かって進むことが大切です。事業目標を見失うことなくメンバー全員の足並みを揃えるためにも、MVVをあらかじめ設定しておくことが新規事業成功のコツと言えます。
ゴールを数値で設定する
ゴールを数値化して明確にしておくことで、プロジェクトメンバーの共通認識を深めることができます。MVVと同様にゴールを明確にするほどプロジェクトの推進力が上がり、新規事業を立ち上げてからの勢いが増すでしょう。
「逃げるが勝ち」という言葉があるように、事業が失敗した場合の撤退ラインを明確に決めておくことも重要です。赤字になって既存事業に大きな影響を与えないようにすることも、次に新規事業を立ち上げるための成功とも言えるでしょう。
最低限のチームで始める
新規事業は最低限のチームで始めることが成功のコツです。MVVの項目では「新規事業は次々に問題が起こる」と記しましたが、問題を見越して多くの人員を割くケースがあります。
新規事業は外的要因の展開が目まぐるしく変わって意思決定をする機会が多くなるため、迅速な対応が求められる場面でも対応できるような体制で挑むことが成功するための得策です。
独自性をはっきりと訴求する
SWOT分析で競合を分析する項目では穴を見つけると記しましたが、穴を見つけることだけが成功する秘訣というわけではありません。競合が既に参入している業界でもニーズが大きく正気を見出せたなら、独自性を持って参入することも可能です。
独自性は自社のSWOT分析で見出すことができ、分析による情報や自社の強みで得た「自社だからできること」を明確にすることで、他社にはない唯一のサービスを顧客に提供することができます。自社独自の強みであることをはっきりとサービスに組み込むことが、市場で勝ち抜くためのコツです。
ユーザー理解を進める
新規事業を立ち上げるうえでよくある失敗パターンは、「自社がやりたい事業に参入する」ということです。ユーザーが必要としているかわからない状態で事業計画を進めても、いざ販売し始めた時にニーズがないことがわかります。
ニーズを把握するにはインタビューやアンケートで仮説検証を行い、ユーザー理解を深めていくことが必要です。
「企業がいいものを作れば売れる」というプロダクトアウトな考えではなく、マーケットインの「顧客が必要としている(ニーズ)製品を作ろう」という考えを持って新規事業を進める必要があります。
企業フェーズごとの新規事業のポイント
新規事業を立ち上げる目的は新規事業の成功ではなく、企業のリスクを分散して経営を安定させることです。自社の既存事業に影響を与えないためにも、新規事業の参入時期が重要になるので各企業フェーズのポイントを解説します。
創業期
企業が創業期にあるときは新規事業に取り組むことをおすすめしません。創業期はまだ既存事業が軌道に乗っておらず不安定な状態にあり、問題が起きた場合には資金や人員を割く必要があります。
既存事業の売上が少ない創業期では資金調達で苦労することが多く、既存事業と新規事業の両方に資金を回すことができません。銀行融資を期待できないため、新規事業ではなく既存事業の安定を追求すべきフェーズです。
企業の地盤が緩い状態で新規事業を立ち上げてしまうと、既存事業もろとも崩れてしまうため、まずは安定した事業を一つ確保することに専念しましょう。
成長期
創業期に不安定だった既存企業は成長期に入ると少し安定してくるため、企業フェーズの中で新規事業立ち上げに適したタイミングと言えます。
企業の業績が良くなり資金面では余力が出てくるため、一気に事業拡大を図っていきたいフェーズです。優秀な人材を確保することもできるため、新規事業の立ち上げを少数に抑えることができ、新規事業の成功率を高めることができます。
既存事業の安定により従業員がポジティブになっていることもあるため、メンタル面でも成功しやすくなっていると言えるでしょう。
とは言えまだ資金調達がスムーズにいくフェーズとは言い切れないため、新規事業に投資するには慎重に行う必要があります。
成熟期
成熟期も成長期と同じように新規事業の立ち上げに適していますが、注意すべき部分もあるので同時に紹介していきます。
成熟期では成長期までのような資金調達の不安はなくなり、優秀な人材に加えてモノを作り出すためのたくさんの人材を雇う余力が出てくるため、新規事業に手をつける余裕も出てくるでしょう。
注意すべき点は既存事業は安定していても、既存事業の競合となる企業が多いフェーズであるということです。
培ったノウハウで抗うことはできますが、競争の激化により売上が落ちてしまって衰退期に向かう成熟期の後半に突入する場合があります。成熟期の後半では新規事業に資金や人を投入するのは危険なので避けた方が得策でしょう。
衰退期
衰退期は新規事業立ち上げに最も向いていないフェーズです。既存事業の撤退や組織の改革を求められるため、新規事業に割く人的・資金的余力はありません。
よくある失敗パターンとして、企業の危機的状況を打開するために新規事業を立ち上げる企業も見られますが、新規事業が利益を出すには長い年月を費やすため、得策とは言えないでしょう。
またメンタル面においても従業員は業績悪化の影響でネガティブになり、失敗できない状況から新規事業を立ち上げても、慎重になりすぎて上手くいかないケースが多いです。
まとめ
新規事業が思いつかないときは、自社や競合の分析から始めましょう。自社の強みを見つけてどんな課題を解決できるかを考えることで、参入すべき業界が見えてくるでしょう。
新規事業は革新的なアイデアではなく、分析によるアイデアによって成功に近づきます。新規事業立ち上げ前だけでなく、立ち上げ後も自社や外的要因を分析することで継続的な成功に繋げることができるでしょう。
分析方法は多岐にわたるため、状況に合わせた的確な分析をする必要があるため、コンサル会社に頼むことも一つの手段です。
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