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【三井化学 × Co-Studio】三井化学新規事業開発担当が、福岡県の小さな島「宗像大島」に惹きつけられた理由

  • 執筆者の写真: Co-Studio 広報
    Co-Studio 広報
  • 1月6日
  • 読了時間: 10分

なぜ、化学メーカーの「三井化学」の新事業開発担当者の瀬田 蒼氏は、福岡県の離島「宗像大島」を訪れたのでしょうか。そのきっかけは、Co-Studioが主催したイベントでの一つの出会いでした。


たった一度の訪問で瀬田さんが肌で感じた島の魅力とは?


そして、個人の想い人との繋がりが、いかにして未来のビジネスの種を生み出すのか。


本記事は、新規事業開発のヒントを探す担当者や、地域の資源を活用した実証実験に関心のある方に向けて、瀬田さんの言葉から新しい価値創造のヒントを探ります。


1. 「未来の当たり前をつくる」三井化学の新規事業開発担当としての瀬田さんの現在地



インタビュアー中村: 瀬田さんの自己紹介をお願いします。


瀬田さん: 三井化学の瀬田 蒼(せた あおい)です。新事業開発センターに所属し、社会や市場、顧客の困りごとを解決するために、社内外のアセットを組み合わせて新たな価値を創り、提供する役割を担っています。また、入社時から、社員有志の組織横断型オープンラボラトリー活動「MOLp®(モル)」に参加して、素材の魅力を再発見しコミュニケーションする活動に取り組んでいます。


化学素材って、ガス、液体、つぶつぶ(ペレット)と一見するとその価値や魅力を知ることはできないですよね。専門家ではない人たちにもわかる表現にコミュニケーションを作りかえることで、素材の魅力をより多様なバックグラウンドの方々に感じてもらいたいというコンセプトの活動です。そんな活動に夢中になっています。


インタビュアー中村: これまでのキャリアと、なぜ新規事業開発の道を選ばれたのか、改めて教えてください。


瀬田さん: 私は2021年に三井化学に入社して、株式会社プライムポリマー(三井化学と出光興産のJV)に出向し、自動車用の材料開発に従事しておりました。お客様に近いところで新しい材料の開発をしていましたが、2025年10月に新事業開発センターへ異動しました。


新規事業の道を選んだ理由としては、「より面白い世界を創るために、コンセプト段階から事業を生み出し、世の中に送り出して実装するまでを一貫してやりたい」との思いからです。研究者たちは、我々が考えもしなかった面白い事象を沢山みつけていて、その中から技術が開発されていく。しかし、技術が開発されたからと言ってそれが社会に求められないものだと広がっていかない。だからこそ、こんな世の中にしたい!という情熱と、世の中の流れを感じて、商品・サービスを市場に求められる形に仕上げ、持続可能的に世界を変化させていく視点を持ちたいと考えています。


様々な技術の持つ面白さを社会に実装できるような全体の設計ができると、世界をより面白いものに変化させられる。その面白さを追求したいと考えてこの道を選びました。


インタビュアー中村: 現在のミッションの面白さと難しさについて教えてください。


瀬田さん: 今のミッションが、これまでと違うのは、手元にある技術起点ではなく、市場や社会の視点を起点とし、社内のアセットと外部の技術を組み合わせながら、社会に新しい価値を実装していくことが役割だという点です。


難しさとしては、研究開発出身で技術目線が強い私にとって、市場(社会・消費者・生活者)の目線をちゃんと養っていく必要がある点ですね。技術をどこかの市場に当てはめるやり方の場合、数ある選択肢の中で最高のソリューションになり得ない場合もある。市場が何を求めているかという仮説から最適な道筋を立てる、その目線が必要だと感じています。


もう一つは、今までは自動車材料の特定素材を専門的に開発していましたが、今は三井化学のあらゆる素材や技術と社外の技術を含めてフラットな目線で最適な選択肢を選ぶ必要があるため、今まで専門外だった社内外の知見を、前提として身につけておく必要がある点です。裏を返せば、知らないことを思う存分知って、その上で未来を考えられるという点が、ワクワク感につながっていて、まさに面白さだと感じています。


インタビュアー中村: 瀬田さんが特に解決したい社会課題は何でしょうか?


瀬田さん: それも含めて模索の毎日ですが、入社以来感じている課題の一つは我々が扱う「プラスチック」素材が「早く捨てられ過ぎている」という点です。プラスチックは自動車材料に代表されるように過酷な環境で長時間使える素材として設計されています。地球温暖化や海洋性プラスチック問題といった課題の解決策は様々な手法で検討されていますが、効果的な手法のひとつは「長く使うこと」だと考えています。


大切なお気に入りはだれもが長く使いますよね。そのためには我々の扱う素材が魅力的であること、そしてその魅力を伝える工夫が重要だと考えています。


2. すべては一つの出会いから。Co-Studioとの出会い、そして福岡県大島へ



インタビュアー中村: Co-Studioのイベントに参加されたきっかけは何でしたか?


瀬田さん:当時は研究開発部門にいたころでしたが、研究所の中にいるだけではなかなか新しい発想は生まれないので、外の視点を持ちたいと考えていました。そこで外の世界のコミュニティに飛び込んで色んな経験をしてみようと思っていた時に、 Co-Studioのメールマガジンでイベント招待の案内が来たので、「ちょうどいいから行ってみよう」と思ったのが始まりです。


インタビュアー中村: 良いタイミングだったんですね。そのイベントで私に会って大島に行くことになったと。


瀬田さん: そうです。中村さんから聞いた大島の話が面白くて。特に印象に残ったのは、やはりでした。離島というと、人が流出し新しいことをなかなか始めにくいのかなという勝手なイメージがありましたが、大島の方々は、元村長が急に塩づくりを始めた結果、「塩爺(しおじい)」と呼ばれて人気商品を生みだしていることや、中村さんが東京の企業の方を呼んで「断食合宿」なるビジネスイベントを開催していること、バギー場や高級感のある宿泊施設などを次々と作っている人がいるなど、様々な地域・背景のひとが集まって新たなビジネスを大島で作ろうとしている情熱にまず興味を持ちました。


インタビュアー中村: イベント終了後にすぐに日程調整のやり取りをしましたね。なぜ行ってみようと思ったのですか?


瀬田さん: まず、機会があったらすぐ行ってみようというマインドを持ちたいと常々思っていたことがあります。というのも、MOLp®の先輩方が、縁もゆかりもない地域に10年かけて入り込み、その地域の人たちとコラボレーションを行ったり、事業創出をしていたりと地道なフットワークの軽さを実践しているのを見て、「このような行動から面白いことは始まるのだな」と感じていたことが背景にあります。


また、中村さんが島の中で実証実験を行うスペースを手作り感満載で作っているという話にも惹かれました。新規事業も最初は手作りのプロトタイプから始まると考えているので、その「起こりの部分」に興味がありました。


▼瀬田さんの出会いのきっかけとなったイベントのレポートはこちら


3. たった一度の訪問で心を掴まれた、宗像大島のポテンシャル



インタビュアー中村: 実際に大島を訪れてみて、特に印象的だった出来事はありましたか?


瀬田さん: 実際に訪れて感じた島の最大の魅力も、やはりでした。島民自らが島をどんどん「アップデート」し、作り変えていくという気概を強く感じました。「島で何か始めてみる、やりたい人が集まってみる」ことができる、非常にポテンシャルのある「実験の場」でもあるのかな、と感じましたね。


インタビュアー中村: 東京にはない、大島にしかない魅力をいくつか挙げるとすれば何でしょうか?


瀬田さん: 三つあります。一つ目は、船で隔絶される体験があることです。船に乗って陸地から遠ざかっている間に、普段の凝り固まった考え方や現世から物理的に離れる感覚があり、それがオープンなマインドになれる良さだと思います。


二つ目は、その隔絶された場所で、いろんな方が新しいことに積極的に取り組んでいることです。様々な背景の方が集まって踊っている場では今までにないアイデアが生まれる可能性を感じました。


瀬田さん: そして三つ目は、住民の方々が土地に誇りを持っていることです。港からほど近いところにある宗像三女神の次女、多岐津姫命を祀る『中津宮』や海の上に立つ独特な鳥居の風景から、歴史・地域性を肌で感じられる。島民が「この島は神々の島だ」という強い誇りを持っていることが、土地に根付いた信念であり、「強いパワー」の源なのだと感じました。夜に入った居酒屋でホットサンド屋を経営されている方と仲良くなり、「ここは神々の島なんだから」と、神棚の大切さについて熱弁されていたのが、印象的でした。


インタビュアー中村: 実証実験のフィールドとして大島にポテンシャルは感じますか?


瀬田さん: 元来、焼き物に用いられる土のように地域に紐づいた素材は、歴史を積み重ねて価値を高めていくことができましたが、プラスチックは地域性や歴史の観点で語られることは少ない。だからこそ、大島のような地域性や歴史性と、最新の技術や価値観を組み合わせることは、今後進めていきたい方向性のひとつと考えています。


例えば、MOLp®において地域性×現代素材を志向したプロダクトの一つにGoTouch®(ゴトウチ)というものがあります。これは各地の特徴ある未利用資源を有効活用しプラスチックとコンパウンド(混ぜ合わせる)することで、植物の香りがするプロダクトや、あるいは地域の誇りであるプロダクトと我々の技術・素材を組み合わせることで、新たな価値を産み出し、世の中にその価値を発信していくことができるプロダクトの提案を行っています。地域ならではの文化・歴史と我々の技術・素材を組み合わせて、これからの世の中に響くアイデアを考えていきたいですね。


4. 個人の "インスピレーション" から始まる、新しい価値創造のカタチ


インタビュアー中村: 大島との出会いを経て、新規事業において、ロジックだけでなく「個人の想い」や「偶然の出会い」を大切にすることの意義について、どのように考えていますか?


瀬田さん: 新事業開発の道を選んだのは、化学(科学)の面白さを社会に実装したいという想いからでした。今回の宗像大島での体験は、まさに個人の好奇心や直感(インスピレーション)を大切にすることの意義を再認識させてくれました。パソコンの前でキーボードをたたいているだけでは不十分で、「現場に足を運ぶこと」が、新しい価値創造の起点になると感じています。


インタビュアー中村: 今後の展望として、今回の訪問をきっかけに、大島とどのように関わっていきたいですか?


瀬田さん:まずは、頂いた縁を大切にしたいなと思います。動き回っていれば何かのきっかけで「点と点が線になる」瞬間がきっと出てくると思うので、この偶然の出会いから生まれた点を、予測不能な形でも、線にできる機会が頻度高く生まれてくるように、引き続き対話を続けていきたいです。その結果、何か大島でプロジェクトをやれたら嬉しいですね。



インタビュアー中村: 最後に、瀬田さんのように、偶然の出会いをチャンスに変えたいと考えているビジネスパーソンへ、アドバイスをお願いします。


瀬田さん: 自分の「直感」「好奇心」を起点にして、外の世界に飛び込んでみることが重要だと思います。船に乗る体験で感じたように、普段の生活から物理的に離れてオープンなマインドになることが、偶然の出会いをチャンスに変える上で役立つと思います。


▼瀬田さんと中村さんのような、新たな化学反応を生む活動に興味のある方はこちら



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