起業したい人の多くが、起業アイデアを作るという最初のステップで躓いてしまいます。「誰も考えないような画期的なアイデアを考えるべきだ」「完成度の高い初期アイデアを作らないといけない」と思いつめる方もいますが、その考えこそアイデアが出ない一番の原因かもしれません。今回はアイデアが出ない理由とその対策法を詳しく解説します。
「起業したいけれど、何もアイデアがない」と考えている人は、起業に対してどのようなイメージを持っているでしょうか。
昨今メディアなどでベンチャー企業の成功事例などが紹介されていますが、このような成功例を見ていると、起業には優れたアイデアが必要と考えてしまうかもしれません。
でも実際には、多くの起業が身近なアイデアに基づいています。この記事を読むことで、起業アイデアをどのように考えるべきか知ることができます。
現状:起業したいけどアイデアが出ない人は多い
冒頭でも述べた「起業したいけれどアイデアが出ない」と考える人は実際にはかなり多いようです。
ここでは起業に関する現状が、起業をしたいと考えている人の立場からどのように映っているのか見ていきたいと思います。
起業したいけどアイデアが出ない人は多い
起業アイデアが出ないと考えている人でも、起業の成功事例をたくさん見ているので、それなりにイメージはできているのではないでしょうか。
参考にできる情報は世の中に溢れているのに、いざ自分が起業するとなると、とたんにアイデアが浮かばないとなってしまいがちです。不思議なものです。
中小企業庁が公表している「2020年度版 中小企業白書」によると、起業希望者のうち起業準備者(開業の準備をしているなど)の割合は半数程度という結果が出ています。
起業したいと考える人は多くても、実際に起業の準備まで行きつく人の割合が少なくなるのは、起業アイデアで悩んでいるという実情があるのかもしれません。
起業しやすい環境が整ってきている
起業アイデアで苦しむ人が多くいる反面、起業するための環境は整備されてきました。
例えば中小企業庁は「創業・ベンチャー支援」の取り組みを行っており、起業家育成支援やベンチャー企業への投資を促進するエンジェル税制などの制度を設けています。
起業支援は地方自治体でも盛んです。例えば東京都は「女性・若手・シニア創業サポート事業」を展開しており、創業融資等をサポートを行っています。
一方支援制度以外に目を向けると、オンラインでの仕事環境が整ったことで在宅やテレワークといった新しい仕事スタイルが生まれました。
今後もITやデジタル技術の活用により、起業環境はさらに整えられていくと考えられます。
起業したいのにアイデアが出ない理由
さて起業の現状がわかったところで、なぜ起業アイデアが出ないのかという理由について考えてみましょう。
そこには起業に対する誤った認識があるので、詳しく解説していきます。
起業に対する熱意や思い入れがない
そもそも起業に対してどれだけの本気度を持って臨んでいるでしょうか?まず起業を成功させることは、並大抵の努力では成しえないという認識が必要です。
起業すれば当初予想しえなかったさまざまな問題や困難に直面します。このような困難に簡単に折れてしまったのでは間違いなく起業は失敗に終わるでしょう。
起業で大事なことは、起業という大きな仕事をいかに熱意や思い入れをもって成し遂げられるかという点です。
起業家としての熱い想いは、起業を成功させるための大きなモチベーションであり、困難に立ち向かうパワーにもなるでしょう。
画期的かつ独自の企業アイデアを追い求めすぎている
起業する人でありがちなのは「起業を成功させるためには、画期的で独自のアイデアが重要」という思い込みです。果たしてそうでしょうか?
もちろん画期的であることに越したことはありませんが、質を追求するほどアイデア出しは困難となり、起業に向けた一歩をなかなか踏み出せません。
世の中で成功しているビジネスを見渡してみてください。決して画期的で独自のアイデアに満ち溢れたビジネスばかりが成功しているわけではありません。
後でも触れますが、ビジネスにとって重要なのは、いかに社会ニーズにマッチするかなのです。
初期アイデアで起業の成否が決まると誤解している
これも起業を考える人によくある誤解の1つです。すなわち起業アイデアは、最初から完璧なものに仕上げなければならないという認識です。
事業を立ち上げた後で、創業時に描いていたマーケットニーズと異なっていたことに気づくことはよくあることです。
当初の見込みから外れた場合であっても、再度市場分析を行い、事業の軌道修正を図ることでビジネスの成功確率を高めることもできるようになります。
事業の将来性を完全に予想することは困難であるので、事業の方向性を見直していくことを前提にアイデアを出していくべきでしょう。
起業したい人がアイデアを考える際気をつけるべきこと
アイデアは必ずしも独自なものでも完璧なものでもなくてよいことはご理解いただけたと思います。
しかし起業を成功させるために、アイデアの中身は何でも良いわけではありません。ここでは、アイデアを考える際に気をつけるべきことについて解説します。
自分のしたいことより社会のニーズを優先する
起業する動機として自分のしたいことや得意なことを優先しがちです。でも起業を成功させたければ、やりたいことよりも社会のニーズを優先しましょう。
事業を拡大していくためには、提供するサービス等が世の中に受け入れられなければなりません。それには社会のニーズを的確に捉えたビジネスであることが必要です。
不十分な市場分析のまま自分のやりたいことを優先したビジネスを立ち上げてしまうと、多くの場合収益が成り立たず起業は失敗に終わってしまいます。
いま社会は何を求め、どんな社会的課題があるのかを常に考えておきべきでしょう。
アイデアより事業の進め方で起業の成否が決まる
アイデアは実現できてこそ、その価値が生じます。実現にはアイデアの中身より事業の進め方が重要であり、これが起業の成否を決めると言ってもよいでしょう。
アイデアを実現させるためには事業計画が欠かせません。事業計画を立てることにより、ビジネスの実現に向けた道筋をイメージすることができます。
そして計画に沿った事業を推進する中で直面する問題や課題に対してはしっかりと問題解決を図り、必要に応じて事業の軌道修正を行います。
単なるアイデアで終わらせず、事業の実現までを見据えた検討が重要でしょう。
起業アイデアは時代に応じて変え続ける必要がある
起業アイデアは時代の変化に合わせて変え続ける必要があります。なぜなら社会のニーズや社会的課題などは時代ごとに変化するからです。
特に技術の革新は社会ニーズの変化に大きな影響を与えます。代表的なものは、インターネットなどのインフラの普及や情報のデジタル化などでしょう。
例えばデジタル社会となった現代とアナログ情報が主体であった時代とでは、消費者のニーズや価値観が大きく変化しているはずです。
また技術だけでなく社会情勢の変化なども踏まえ、その時代に合ったアイデアを考えることが起業成功への近道と言えます。
起業したい人向けのアイデアの探し方
次に起業アイデアをどうやって探すのかについて見ていきましょう。
起業アイデアの探し方はさまざまですが、その中で起業をしたいと考えている人が抑えておきたい探し方について紹介します。
インターネットで起業や経営に関する情報を探す
昨今は起業や経営に関する情報をインターネットで簡単に入手できる時代になりました。これを利用しない手はありません。
自ら起業して成功を収めた起業家や起業を支援する専門家などは、起業の手順や資金調達の方法など起業に関する情報をブログやサイト記事で発信しています。
情報の正確性などを吟味する必要がありますが、起業の実体験など、これから起業する人にとっては有益な情報が多いので、情報入手の入口として活用しましょう。
公的機関や専門家の手を借りる
起業アイデアの実現性の評価や起業の進め方の検討などは、自分ひとりで考えるのは難しいものです。そんなときは公的機関や専門家の手を借りましょう。
公的機関・専門家は多くの起業家を支援してきた実績があるので、抱える起業の悩みや現状を踏まえたアドバイスをもらうことができます。
また利害のない立場で客観的な意見や助言がもらえることも大きな利点でしょう。アイデアの実現性を高めるために、活用したい手段の1つです。
起業コミュニティに参加する
起業についての悩みや課題を共有したい場合や起業仲間をつくりたい場合には、その手段として起業コミュニティへの参加が挙げられます。
起業仲間や先輩起業家との交流、起業セミナーの開催など、目的や内容によってさまざまなコミュニティが存在するので、自分に合ったものを選びましょう。
なおコミュニティはあくまで起業アイデアを探す手段なので、コミュニティに参加すること自体が主目的にならないように注意したいところです。
世の中にある課題を敏感に探し続ける
起業アイデアの本質は、世の中にある課題を解決することにあります。言い換えれば、社会的な問題や課題を解決できるビジネスが求められているのです。
起業アイデアは世の中にある課題とつながるものであることが望ましく、そのために課題を敏感に探し続けるマインドを持つことが大切となるでしょう。
昨今は「社会起業家」という言葉が知られているように、社会的な問題や課題を解決するビジネスが注目されており、今後もその傾向は続くでしょう。
起業準備を先に進めてみる
アイデア出しで止まっていると、起業の意欲を失ってしまうおそれがあります。アイデアで悶々と悩むより、まずは起業準備を先に進めてみましょう。
準備を進めていく中で入手する情報や人との出会いなどから社会ニーズや社会的課題に気づき、そこから起業アイデアが生まれてくることも考えられます。
手を動かし続けることで、思考停止になる事態が避けられ、起業に向けたモチベーションの維持も期待できます。
まとめ
起業アイデアはビジネスの種であり、事業の方向性を決めるために重要です。しかしアイデアの質やレベルばかりを追い求めてしまうと、起業の一歩をなかなか踏み出せません。
アイデアで悩む人が多いのが実情ですが、一因として起業に対する誤った認識が考えられます。アイデアは画期的で最初から完璧であるべきという誤解です。
起業アイデアは社会ニーズや時代の変化に対応したものが求められます。またアイデアの中身より実現に向けた事業の進め方を意識することも重要です。
起業アイデアを考え出せないとお悩みの方は、この記事で紹介したアイデアを出す際に考えておくべきことやアイデアの探し方を参考にしてみてください。
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