「出島」という仕組みが大企業のイノベーションに繋がるヒントに。大手会社員から独立し、社会課題を解決するイノベーターへインタビューを行いました。
澤田さんの経歴紹介
国内の大手IT企業や損害保険会社、電気機器メーカーなどで経営企画、イノベーション事業開発などを歴任。会社全体の中長期経営戦略などを担当する。しかし「社会課題の解決」と「大企業として行うべき事業」の間に、オーナーシップを持てないことに課題を感じ
2019年にCo-Studio株式会社(以下Studio)を立ち上げる。企業、NPO、行政等が事業提携を通じて互いの経営資源を持ち寄り、社会課題の解決につながる革新的な事業モデルの開発に取り組む。
Co-Studioを立ち上げた理由の一つに「大企業ではオーナーシップを持てない」といったものがありましたが、それらを踏まえた企業での課題感やStudioのビジョンについて伺えますか?
まずは企業も社会としても、イノベーションを起こしていく必要があると考えています。
社内で新規事業を起こそうとした時に裁量権のオーナーシップがなく、予算がつかないということを関わってきた多くの会社で目の当たりにしました。
そのため、出島を作り一旦外で生み出し、経営権として会社の株を持ってもらう。スウェットエクイティ(※1)という実際に汗をかいて形を作った人にエクイティ株を持ってフェアなリターンを得る仕組みを作りたいと思い、この会社を創りました。
(※1)スエットエクイティとは?
これらは資金調達の面でいうと、大企業で予算を取ろうとした時になかなかお金がつかない問題があります。そのため社内で数多の承諾を得ながら予算を取るよりも、外部の投資家に出資してもらった方が早いのかなとも思います。ヒトもカネもそうですが、モノでいうと、プロトタイプを作って早く試していくということで、ヒトモノカネを最大限活かしていくために出島という形で進めているのが弊社の行っていることです。
Co-Studioを立ち上げたビジョンの中で、ソーシャルグッドと呼ばれる「営利と非営利の融合」を目指す意義とは?
営利でビジネスを作ろうとすると、この観点は世の中ですでにやり尽くしている感もあり難しい部分もあります。しかし非営利な活動だけを求めてNPOになることを進めたいわけではありません。社会解決をする際に営利と非営利の両方を追求していきながら、最初はお金にならなくても、社会課題を解決できる価値があれば、あとからお金がついてくると考えており、この両軸の融合を目的としたビジョンを掲げました。
そのようなビジョンをもとに、これまでCo-studioが行ってきたことは?
まずは想いとして、多産多死の覚悟で様々な事業を始めました。
最初に4〜5社ほどの子会社を設立し、そのうちに自治体から評価を得て地方の伴走支援に繋がる流れができました。
さらには大企業の出島を外に作ったという点が評判を呼び、最初に製薬会社で作った子会社に倣って、別業界のエネルギー企業から子会社を創ってほしいというお声がかかったりなどの変化も起こってきました。
また自分で子会社を創ることも行ってきましたが、ベンチャー企業の経営の立て直しや、経営の代行も行ってほしいというお話もいただくようになりました。
行ってきたことを振り返ると、会社を立ち上げるというフェーズから運営していくフェーズへの変化が見られますが、その転換理由はどんな所にありますか?
これは弊社が掲げているビジョンの中にある「共感を軸に広げていくコミュニティ」という点が挙げられます。我々が他のコンサルタントと大きく違うのは、「伴走支援」の名の通り、実際に手足を動かして事業を行っているところです。
コンサルテーションのようにレポートを出して分析をして、あとはあなたたちがやることです。というような会社は世の中に多くありますが、我々は渦中の栗でも拾いにいく覚悟もあります。経営というのは非常に難しいところではありますが、企業と一緒になって泥臭く取り組んでいるところが大きな評価となっており、我々の価値が変出しているところなのかなと感じています。
そのような活動を踏まえて、これからのStudioの目標や展望とは?
大企業がダメだから我々が独自に何かするというわけではなく、社会課題を解決するための社会実装の実現を目標として、これからも大企業と一緒に様々な取り組みを担っていきたいと思います。
2025年には大阪万博がありますが、「持続可能な社会」「長寿健康」という日本や世界の社会課題に対して、Co-Studioだけではなくいろんな会社と連携を深めて、イベントに繋がる仕掛けを行っていきます。
また並行して進めていることとして、2020年11月に行った「ソーシャルグッドウィーク」を2024年に「ソーシャルグッドウィーク2」という形で行う予定です。
他にもコンソーシアム活動(※2)などを含めて、ソーシャルグッドウィーク2、大阪万博へ繋げるイノベーション活動で、働き方や株の民主化もどんどん行っていきます。
(※2)コンソーシアム活動とは、「共通の目的を持つ複数の組織が協力するために結成する共同体」
2020年に「ソーシャルグッドウィーク」を行ったとのことでしたが、こちらの開催目的や行った内容を教えてください。
企業や事業、世代や価値観など、いろいろな内容をごちゃまぜにした際に、どのような化学反応が起こるのかという期待を持ってお祭りを開催しました。当時はスポンサーが集まるのかという不安もありましたが、多数企業にご支援をいただき、無事に開催することができました。
当時は大企業もそうですし、ベンチャー企業や、日本の各エリア、またグローバルでいうとサンフランシスコ、シンガポールなどいろんなところを繋ぎました。イノベーション = 新結合なので、テーマ・場所・人など様々な新結合を行いました。
またこの期間中には、eスポーツ×社会課題解決を行う会社(Life Reversal Gaming)が誕生するという一大イベントもありました。
他にも民主化という観点でいうと、Z世代が社会を変えてくれるという期待をしていたので、インターン生として参加していた小宮(現Co-Studio 執行役員CMO)が3年経った今では出島の会社役員になっていたりと、多くの変化・進化を起こすきっかけとなったイベントだったのかなと思います。
それらを踏まえて「ソーシャルグッドウィーク2」は、どのような内容を検討していますか?
2020年11月はCo-Studioが主催で行った期間でしたが、生まれた会社からさらに出島を創ってほしいというリクエストもあり、「共感を軸に広げるコミュニティ」をさらに広げていきたいと思っています。
創った会社に関しては、出資を受けるということも実現できているので、このイベントを通してさらに出資を広げていきたいと思っています。取り組みを行っている企業が2〜3年でこれだけ影響力を持つことができることを知ってもらいたいと思っています。
他にも2025年の大阪万博を視野に入れているとのことですが、現時点でのご構想があればぜひ教えていただきたいです。
これまで進めてきた出島や新会社をStudioのコアメンバーの第一世代が行い、第二世代として、インターン生や新卒で執行役員になったりと実現できてきました。
2025年には、第三世代・第四世代としてStudioのコアメンバーだけではなく、新しいインターン生や大企業の人たちが我々と同じような取り組みが民主的に行えるようになっていきたいです。
創ってきた会社に関しては、トップ企業と行っている実証実験など、花を開いてM&A、IPOなど価値を証明させたいと考えています。
たくさんの変化もありながら、根幹となる部分は「共感」や「ソーシャルグッド」。それらを軸とした今後のCo-Studioにおける宣言をお願いします。
オーナーシップ=エクイティ株というのはグローバルに言われ始めていることですが、心理的資本、所謂サイコロジカルキャピタルというのは、働く労働者だけではなく株を持った投資家にもなれるということを実現していきたいと考えます。
サイコロジカルキャピタル×民主化をより出資したり、企業の予算のみならずトークンだったり新しい金融システムを組み合わせる、世界の富裕層のファミリーオフィスの資金を組みを入れて、より大きな民主化のプラットフォームを生み出していくなど、コミュニティに所属しているコミュニティメンバーと令和維新に繋がるZ世代と創り上げていきたいと思っています。
またそう言った観点ではスポットライトを当てるという意味で、今後は自分から子会社の役員や、インターン生にも当てていけたら嬉しいです。
Comments