ごみ拾い活動にスポーツ要素を取り入れた社会奉仕活動「スポGOMI」と、ゲームを競技化した「eスポーツ」を組み合わせることにより、楽しく環境保全活動に楽しめる「eスポGOMI」。今回はそんな活動の実態や活動意義についてまとめました!
eスポGOMIとは
「eスポGOMI」は、ごみ拾い活動にスポーツ要素を取り入れた社会奉仕活動「スポGOMI」と、ゲームを競技化した「eスポーツ」を組み合わせ、楽しみながらSDGsの達成を目指すというソーシャルアクティビティです。
ごみ拾い活動を大人が積極的にしている中、もっと若い世代にも環境保全活動に興味を持ってほしいというところから「eスポGOMI」が始まりました。
実施団体
日本スポGOMI連盟、株式会社Life Reversal Gaming.、横濱OneMMにより「eスポGOMI開催委員会」が組織され、実行委員会形式で運営をしています。
なぜそれをやるのか?
ごみ拾いだけだと幅広い世代に継続してもらうことが難しいですが、そこにゲームというコミュニケーションを取り入れることで、どの世代でも楽しくごみ拾いをすることができます。
「環境保全のイベントがあるよ」というより、「ゲームのイベントがあるよ」と言ったほうが子どもは参加しやすく、土日の休みに家族で出かける先の選択肢として取り入れやすいというメリットもあります。
また、ごみ拾いという社会奉仕のテーマがあることで、大人が抱えがちなゲームに対してのネガティブなイメージを少しでも払拭し、ゲーム自体の価値を高めていくのも目的です。
ゲームを通して、親が子どもを認めてあげるという世の中を目指します。
大人にとっても子どもにとっても、自分の住むまちの環境を当たり前のように考える機会を提供していくことで、SDGsが掲げる「持続可能な社会の構築」を目指すことができます。
どんなことをやっているのか?
eスポGOMIは、3~4人のチーム戦で、前半戦と後半戦で2回ごみ拾いを行います。
その間にあるハーフタイムでは、eスポーツ大会形式でゲームをプレイし、その結果に応じて後半戦のごみ拾いを有利に進めるアイテムを獲得できます。
アイテムは、ごみを拾いやすいトングや、ごみ拾い会場の近くの地理に詳しい人を助っ人に呼ぶなど、ユニークな選択肢があります(イベントごとに特典は異なります)。
そして、最終的に拾ったごみの種類や量によって、eスポGOMI全体の勝敗が決まります。
ハーフタイムのゲームでは、落ち物パズルの代表である株式会社セガの「ぷよぷよeスポーツ」をプレイしています。
1プレイが5分程度なので、全員にプレイをする順番が回り、勝敗が決まりそうで決まらないハラハラドキドキのせめぎ合いも面白く、大いに盛り上がります。
さらにプロのeスポーツ実況者によるコミカルなゲーム実況も、会場を沸かせます。
部屋で一人プレイしたりホームパーティーで盛り上がったりするのとは異なり、地域のみんなで熱狂する、のめりこむ、という「非日常」も体験できます。
「勝ちたい」という気持ちにも自然と火が付き、ゲームが得意な人が不得意な人に教えたり、メンバーを応援したり励ましあったりと、そこに上下関係や年齢は関係なく、ごみを拾うだけでは築くことの出来ないより強い絆が、ゲームによって構築されます。
そのつながりはまさに、地域のコミュニティ形成の在り方そのものです。
開催したあとの声
参加者コメント
「部署の違うメンバーたちの寄せ集めだったが、一連のイベントに参加することで親睦が深まり、のちに新規のコンテンツ開発につながった」という声を直接いただきました。
共にごみ拾いとゲームをしただけで、意外なとこからのコミュニケーションも生まれ、関係はその日だけにとどまらず、その後も良い関係を築いていけたそう。
また、施設のご年配の方々からは、「孫とゲームができるきっかけになった」という報告もいただきました。
決してゲーム目的の参加ではなかったけど、何気なくゴミ拾いに来たらゲームの楽しさを知れたので、「今度は孫をつれてくる」と嬉しそうに話してくれました。
「eスポGOMI」を推進している髙木光治さんのコメント
株式会社Life Reversal Gaming. 代表取締役 髙木光治さん
「株式会社Life Reversal Gaming. 」のインタビュー記事はこちら
最近ではたくさんのご応募をいただけるようになり、早くから枠が埋まる大会も出てきました。
参加のきっかけは様々で、必ずしもゲームだけが人を呼んでいるわけではなく、子どもはゲームをきっかけにごみ拾いを楽しく継続でき、ご年配の方はごみ拾いをきっかけにゲームを好きになり、そこから子供たちとのコミュニケーションへと繋がっているように思います。
どんなきっかけであれ、この活動に興味を持ってくれる人が増えることが何よりも嬉しいです。
僕自身、ゲーム好きの両親のもとに生まれて、家族行事やイベントごとには必ずといっていいほどゲームの存在があるような環境で育ったんです。
僕のこれまでの人生の中で、ゲームは確実に役に立つものだったし、そんな自分の実績があるからこそ、この未来と可能性を広げていきたいと思っています。
実際に、今まで参加してもらったチームの統計をとってみると、後半戦のほうがごみの量が多かったというチームが圧倒的に多く、同じエリアで同じ人数でごみ拾いをしているのに、間にゲームを挟むことによって、よりごみ拾いへの姿勢が変わることが分かりました。
誰もが対等な立場となれるのもゲームをするメリットで、例えば上司と部下の関係でも、親と子の関係でも、下のほうが上のほうに教えるという状況が発生するのもゲームならではです。そしてそこから新しい関係性も生まれます。
最終的にそれはチームビルディング(チームの質の向上)にも繋がり、普段ゲームをする人でもしない人でも、お互いに新しい一面を見るきっかけにもなり得ます。
ゲームの中で交わされるコミュニケーションにより、いつのまにか互いに平等な立場で楽しめるようになり、先導者にも変化が生まれると、その後のスコアにも良い影響が出るのだと思います。
みんなでゲームをするという行動を加えるだけで、私たちが想像した以上の結果が得られていることが多く、そこからどんな変化が生まれるかもまだまだ分からない。
そういった意味でも、eスポGOMIには無限の可能性があると考えています。
まとめ
企業単体の力では存続していくのが難しくなってきた昨今、企業同士で肩を組んで一つの目標に進んでいくことも視野にいれていかなくてはいけません。
SDGsの達成という目標のためには、CSR活動がそのまま紐づくわけですが、どこの会社も何かをやらなくてはいけないとは思ってはいても、中々そこに全社員の時間を割くというのは負担が大きいのが現状。
例えば国際基準であるISO14001*という称号を得るためには、ごみ拾いを年間2回しなくてはならないなどの細かいルールがあったりしますが、同じごみ拾いという名目であれば、自分たちで1からイベントを作るよりも、注目度のある企業イベントに参加することで、自社の知名度アップにもつながります。
そういった意味でも「eスポGOMI」は、どこの企業目標にもマッチングしやすいイベントになります。
まずは「eスポGOMI」をきっかけとした環境保全活動からはじめてみませんか。
*ISO14001とは、製品の製造やサービスの提供など、自社の活動による環境への負荷を最小限にするように定めた仕様書です。ISO14001を取得した組織や企業は、地球環境へ配慮した組織/企業活動を行っていると国際的に認められることになります。
Comments