この記事では新規事業のアイデアを出す段階から、立ち上げるまでのフレームワークをリスト化しました。読者の方が考えた案がプレゼンで通り、新規事業が立ち上げられるようになるためにも読み進めてください。
新規事業アイデア創出のフレームワーク
アイデアを出すことは新規事業を立ち上げるまでの最初のステップです。いいアイデアが思いつかないという方が多いですが、フレームワークを活用することで必要なことが見え、新規事業がどこに参入すべきかがわかるようになります。
マンダラート
野球の二刀流といえばでお馴染みの大谷翔平選手が、目標設定として活用していたことで有名なマンダラートですが、新規事業のアイデアを創出するためのフレームワークにも活用できます。
ポイントは「なにがなんでも空欄を埋める」ことです。各項目の3つほどはすぐに埋まると思いますが、8つ埋めるにはアイデアを絞り出す必要があります。この絞り出す作業をすることで、自分の底にある革新的なアイデアを創出することができるでしょう。
SCAMPER
SCAMPERは「オズボーンのチェックリスト」を応用した方法です。既存のアイデアに7つの質問をすることで、新しいアイデアを創出することができるとされています。
ゼロからアイデアを出す方法ではなく、既存事業やすでに出ているアイデアをより良くする方法なので、「アイデアが出ているけどしっくりこないな」という時に使ってみると良いでしょう。
5W1H
ビジネスでは伝え方の方法として説明に使われることがありますが、新規事業のアイデアを創出する方法としても役立つフレームワークです。
・Who:誰が/自社
・Why:なぜ/目的
・What:何を/サービス
・When:いつ/タイミング
・Where:どこで/販売チャネル
・How:どのように/ビジネスモデル
売り手目線を意識しすぎると顧客ファーストの製品ではなくなるため、買い手を意識して埋めることで新規事業が上手くいくアイデアに繋がるかもしれません。
6W3H
5W1Hに「Whom」「How much」「How many」を付け足したWhoとHowをより深掘りできるフレームワークです。
・Whom:誰に/顧客
・How much:いくら/費用と価格
・How many:どのくらい/数量
Whoだけでは「誰に対して」というユーザーへの目線が疎かになるため、ユーザーファーストを意識される時代においては欠かせない視点になっています。またHow muchやHow manyはHowがより具体的になるため、ぼやけた部分をなくすために必要です。
MVV
「Mission(ミッション)」「Vision(ビジョン)」「Value(バリュー)」の頭文字からなる、目標設定のためのフレームワークです。
新規事業は何を目的としてどうあるべき事業にするのかを考えることで、ターゲットにすべき顧客が見えて新規事業のアイデア創出に繋がります。
目標設定のためのフレームワークなので、立案前にMVVを設定しておくことでプロジェクトメンバーの共通認識ができ、スムーズに新規事業が展開できるでしょう。
顧客分析
顧客を分析して知ることは、売上が立つ強烈な新規事業のアイデアを創出することに繋がります。
人は悩みやストレスを解消するためにお金を使います。人が悩む要素として「HARM(ハーム)」という言葉が挙げられますが、内容は以下の通りです。
・Health:健康
・Ambition:野望
・Relation:人間関係
・Money:お金
読者の方の悩みも4つの項目に当てはまると思います。「出世したい」という野望を持っていませんか?「上司に言われてアイデアを練っている」という人間関係のためと考える方もいるかもしれません。
今この記事を読んでいる方のように、人は悩みを解決するために行動します。上手く悩みに刺さるアイデアを出せれば、売上のでる新規事業が立ち上げられるはずです。
市場調査のフレームワーク
新規事業を立ち上げる前に市場を調査しておくことは不可欠です。ニーズのない事業を立ち上げても利益どころか売上も立ちません。新規事業がしっかりと目標達成できるように市場調査のためのフレームワークを活用してください。
ポジショニングマップ
ポジショニングマップは既存事業や参入候補の市場を分析するときに、縦横の軸で四分割した表によって自社や競合がどの位置にあるかを見比べ、どのポジションなら競合との差別化を図れるかを可視化することができます。
新規事業立ち上げ後も自社のポジションを把握できるため、ブレずに戦略を立てることができるでしょう。
3C分析
3C分析は「自社(Company)」「競合(Competitor)」「市場(Customer)」から構成される、市場の競争率を測るフレームワークです。
新規事業立ち上げ前には自社の部分を新規事業案として想定することで、競合がどれだけいて市場にはどれだけニーズがあるのかを把握し、「新規事業は今考えている案でほんとうに市場を取りに行けるのか」を確認することができます。
競合が多かったり市場にあるニーズが飽和状態だったりした場合は、市場に比べて競合が多すぎない事業やターゲットを変更する必要があります。
SWOT分析
SWOT分析は内部環境の「強み(Strength)」「弱み(Weakness)」と外部環境の「機会(Opportunity)」「脅威(Threats)」で構成されるフレームワークです。
主に自社の強みを見極め、機会(チャンス)を逃さないために使われますが、ピンチはチャンスと言われるように弱みと脅威を分析することで、誰もいない市場に参入できる場合があります。
松下電器産業株式会社を創業した松下幸之助さんが記者から受けた「なぜこんなに成功したのか?」という質問に対しての答えは以下のとおりです。
・家が貧乏でお金の大切さを知れた
・体が弱く人の力を借りる大切さを知れた
・学歴がなく人から学ぶ大切さを知れた
言い訳にしてしまいそうな理由ですが、松下幸之助さんはピンチをチャンスに変えています。
「子ども向けお菓子を販売しているけど少子高齢化が進んでいる」という場合は、思い切って高齢者向けのお菓子に方向転換することも、革新的アイデアを創出するためには必要です。
VRIO分析
3C分析やSWOT分析が外部環境から分析したのに対して、VRIO分析は「自社がどのような特性があるのか」を内部環境から分析するフレームワークで、内容は以下の通りです。
・Value(企業の価値)
・Rareness(希少性)
・Imitability(模倣性)
・Organization(組織)
要するに「どれくらい重要かつ真似されないか」と「組織はどれくらい活用できているか」に分類できます。
野球で有名な大谷選手は打っても投げても優秀な、まさに重要かつ真似できない選手です。しかし試合に出さずベンチを温めていては、組織で上手く生きているとは言えず、試合に負ける可能性もあるでしょう。
企業が持つサービスや特別な機械がどれだけ重要で真似されなくて、どれだけ活用できているのかという内部環境を把握することも市場調査と言えます。
マトリクス分析
マトリクス分析はExcelのような表で2つの軸に分類し、課題やアイデアを絞って明確にするフレームワークになります。使い方次第で課題だけでなくどんな層をターゲットにするかも分析できる汎用性の高いフレームワークです。
複数の選択肢がある中で主観的に「これがしたい」と捉えず、市場やターゲットを客観的に見て「若者は参加率が低く、高齢者はリピート率も高いためターゲットは高齢者」といった分析を図に表すことができるので、組織で共通認識を強く持つことができます。
STP分析
STP分析は「市場細分化(Segmentation)」「ターゲットを決める(Targeting)」「自社の立ち位置(Position)」から構成される、新規事業の市場での位置を決められるフレームワークです。
時代とともに市場や顧客のニーズは変化しますが、ターゲットが明確でないと時代の変化に対応できなくなってしまいます。さらにはサービスの軸がぶれてしまい、顧客に訴求する力が弱まってしまうでしょう。
自社の強みを最大限に生かすためにも、STP分析でターゲットを絞り、ポジションを取る必要があります。
事業計画のフレームワーク
市場調査でターゲットやニーズを把握した後に新規事業の計画を立てることで、顧客が明確になってどんな製品を売っていくべきかを、スムーズに決めていくことができるでしょう。
この章では新規事業を計画するためのフレームワークを解説します。
4C分析
4C分析は購入者側の視点から分析するフレームワークで、「Customer value(顧客にとっての価値)」「Customer cost(顧客の負担)」「Convenience(入手利便性)」「Communication(コミュニケーション)」をの頭文字を取っています。
4C分析のメリットは顧客視点で分析するため、顧客のニーズを把握しやすく顧客に刺さる戦略を立てられることです。
次に紹介する4Pは4Cと一緒に使われることが多いフレームワークなので、ぜひ読み進めてください。
4P分析
4P分析はサービスを開発するために検討する、「Product(製品)」「Price(価格)」「Place(流通)」「Promotion(宣伝)」の頭文字で、4C分析とは反対に売り手側から見たフレームワークです。
新規事業が市場に参入するときや既存商品のマーケティングを見直すときに使え、サービスのポテンシャルを認識できるため、価格設定やどこで販売していくのかがわかるようになります。
ペルソナ設定をすることでより具体的な戦略が見え、顧客ファーストを忘れずに施策が打てるため、4P分析においてペルソナを明確化しておくことは重要です。
5フォース
5フォースは競争が激しいのか限定的なのかを判断して、外部環境から業界内の収益性を調べることができるフレームワークです。新規参入だけでなく新サービスを出すときにも使うことができます。
・売り手の交渉力(供給業者)
・買い手の交渉力(顧客)
・新規参入の脅威
・代替品の脅威
・業界内の競合
5つの中でも代替品の脅威は想定しにくく、気がついたら「自社製品の代替品が市場に出回っている」こともあるでしょう。
まだガラパゴス携帯が使われていた時代では、IT業界であるガラパゴス携帯と家電業界であるポータブルオーディオプレーヤーは別物と考えられていました。しかしスマホが登場して、今やIT業界の製品が家電業界の脅威となっています。
常にアンテナをはり続けて業界内の競争要因をしっかり把握し、競争を回避したり利益を確保したりすることが重要です。
ビジネスモデルキャンパス
ビジネスモデルを可視化するためのフレームワークがビジネスモデルキャンバスです。新規事業のビジネスモデル案を出すために必要な要素やその関係性、全体像を把握することに適しています。
課題発見と言った改善すべきポイントを見つけたり、ビジネスモデルを図として表せるため、新規事業アイデアをプレゼンする場において、説得力が増すフレームワークになるでしょう。
まとめ
フレームワークを使えるようになることで、アイデア発想から新規事業計画のプランを作るところまでできるようになります。とくに図で表せるフレームワークは、プロジェクトメンバーが新規事業の目的や立ち位置を意識しやすく、共通認識が強まるためおすすめです。
この記事だけでも16個ものフレームワークを解説していますが、全てを適切なタイミングや用途で使うことは慣れていなければ難しいでしょう。
迷って心配の多い新規事業を立ち上げるなら、コンサルを利用することによって事業の成功率を少しでも上げることも一つの手段です。
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