現代版の三方良しともいえるサステナブル経営は、企業外だけでなく企業内でも活用されるべきですが、サステナブル経営のメリットやメリットを活かすための方法が存在するため、この記事ではこれらの内容に沿って紹介していきます。 企業はサステナブルを意識せざるを得ない状況になってきているため、この記事を読んで必ず理解しておく必要があるでしょう。
日本企業は「三方良し」が注目されていました。売り手よし、買い手よし、世間よしの3つです。しかしこれらは昔の話で、現代ではビジネスにおいてとても視野の狭い考えといえるでしょう。
現代の三方よしに当たると考えられるのが、サステナブル経営です。サステナブル経営では「環境」「社会」「経済」に注目し、より現代的な視点で三方を考えます。
サステナブル経営とは
サステナブルとは「持続可能性」という意味で、余剰資金での慈善活動ではなく本業が社会貢献していることが、サステナブル経営です。
元々サステナブルは、水産業界で水産資源を減らさずに漁獲量を持続させるという意味で使われていました。後に一般企業で使われるようになり、「環境」「社会」「経済」を意識した経営が問われています。
牛のゲップがCO2よりも環境破壊の影響が多いとされていますが、イギリスのスタートアップであるZelpが、牛から出るガスを60%削減するマスクを開発しました。こういった社会問題を解決するのが、サステナブル経営です。
また社外で起こっている環境や社会問題の解決だけでなく、社内の社会的問題にも取り組まなければなりません。報酬の未払が無いことや男女関わらず出世できるといった企業内の環境を整備することも求められています。
ボランティアとは違うため、ビジネスとして利益を上げながら、自社で持続的に経営をしていけないとサステナブル経営とは言えません。
サステナブル経営が意識されるようになった背景には、SDGsが掲げられるようになったことが挙げられるでしょう。
SDGsとサステナブルの違いは、サステナブルが「環境」「社会」「経済」の視点で主に企業が掲げる目標なのに対して、SDGsはサステナブルの3つの要素をより細かく17個に分け、世界が掲げている目標です。企業内の目標設定では、SDGsではなくサステナブルがよく使われる傾向があります。
SDGsの影響で世界的にも環境や社会に配慮して動きが出始め、企業に対する法律が変わってきています。日本が2030年にガソリン車の販売ができなくなるという法律も、SDGsを意識した法律と言えるでしょう。
環境に配慮した製品しか販売できなくなったり、事業そのものがSDGsのための法に触れるようになったりしてしまうことが考えられるため、企業は今すぐにでもサステナブル経営を意識する必要があります。
サステナブル経営がもたらすメリット
サステナブル経営に取り組もうとすると、既存事業であれば社内丸ごと仕組みを変えなければいけないこともあるため、手間やコストが必要となるでしょう。しかしコストをかけて得られるメリットが存在するため、紹介していきます。
1.企業全体のサステナビリティ向上
2.人からの評価が向上
企業全体のサステナビリティが向上することで、事業リスクの低下と新規事業の創出が可能になります。
事業リスクについては前章でも記しましたが、SDGsの動向が強まり日本でも環境や社会に対する法を改正する動きが強まっているため、環境に配慮していない商品やジェンダー問題のある企業の商品が売れなくなってしまうでしょう。
企業のサステナビリティ向上は新たな事業を創出するきっかけになります。環境や社会の問題を解決しようと考え始めるため、新規事業案が創出されやすい環境になるでしょう。
2つ目の「人からの評価」というのは、企業内外で関わる人全てです。サステナブル経営をしている企業が伸びる傾向にあるため、投資家がサステナブルな企業に投資する動きが見られます。消費者から企業イメージが向上するため商品や企業の信頼に繋がるでしょう。
企業内では従業員が「社会貢献をしている」という、仕事に対する誇りや自信を持つことができ、意欲を向上させることができます。就活生においても社会貢献に興味があり、志のある人材の獲得にも繋がるでしょう。
博報堂が行った調査で若者が社会問題に興味を持っていることがわかるため、人材を獲得するためにもサステナブル経営を意識する必要です。
「社会問題に積極的に取り組む企業に就職・転職する(したい)」人は、男性10-20代・女性10代で約4割と、全体より15ポイント以上高い
サステナブル経営を展開するための4ステップ
サステナブル経営の必要性とメリットについて話してきましたが、メリットを得るためには「どういった事業なのか」を明確にし、ステークホルダーをはじめとするビジネスに関係する人の理解が必要です。
この章には理解を得るための事業を明確にしていくステップを3つに分けて紹介していきます。既存事業だけでなく新規事業の立ち上げにも役立つため、読み進めてみてください。
Step1 解決すべき課題を見つける
サステナブル経営を始めるには課題を見つけることか始めます。「牛が環境破壊に繋がっている」「先進国の相対的貧困にある人を援助する仕組みを作る」といった課題を見つけ、解決に動くことがサステナブル経営の第一歩です。
社外で解決できそうな事業が思いつかない場合は、社内にもヒントがあります。「社内で起こっているジェンダーや問題が起きていないか」「自社製品を作る工程でどれほどCO2を出しているか」を調べ対策することで、サステナブルな企業と呼ばれるようになるでしょう。
通信企業であるKDDIでは6つのサステナビリティ課題を選定しています。具体的な内容は、使用済み携帯電話を回収して99.8%の再資源化を実現や、ミャンマーなどの通信インフラが整っていない地域での経済発展の促進です。
KDDIのように外部や内部の課題に取り組もうとすることで、企業がなるべき姿が見えてきます。
内部の課題解決には従業員へのヒアリングを行うことが課題発見の近道と言えるでしょう。現場で活躍している人ほど、課題がより鮮明に浮き出てきます。従業員にアンケートを取ることで、サステナビリティを認識させることにも繋がるため、ヒアリングをする価値は大いにあるでしょう。
Step2 企業がなるべき姿を考える
企業がなるべき姿とは、企業のミッションを設定することです。具体的に決めることで、従業員が目指す方向を意識しやすくなるため、士気の高まりややるべきことの明確化にも繋がります。
KDDIを例にすると、「24時間365日『繋がる社会』」がミッションです。
東日本大震災で車両型の通信基地局を配置して災害後でもすぐに電波を復旧や、前項で紹介したミャンマーでの取り組みといった、企業がなるべき姿である繋がる社会の実現に向けて、やるべきことを明確化しています。
ポイントは世界や日本国内で基準となっている、2030年から2050年に合わせたミッションを設定することです。長期過ぎると時流に乗り遅れてしまうため、これらの時間と同じか短いくらいの期間を設定する必要があります。
最終目標を決めたら最後のステップです。最後にKDDI のように短期・中期でやるべきことや目標を明確化していきます。
Step3 短期・中期目標を決めて実践
長期的なミッションを設定できたら、短期・中期の目標を設定していきます。
ポイントとなるのは、自社の現状からミッション達成までの過程を決めるのではなく、最終のミッションから逆算して過程を決めていく、バックキャスティング思考です。
最終的なミッションにも言えることですが、具体的な数値を出すなどをしてゴールや通過点を明確にしておく必要があるでしょう。
繋がる社会と言っても、具体的に何年後にスマートフォンの普及率が何%にするのかといった数値で目標設定をすることで、今何をすべきなのか、どこに向かっているのかが明確になるため、従業員の効率アップにつながると考えられます。
Step4 戦略実行後の評価
実行したら達成していることと未達成なことを評価するのはビジネスにおいて基本です。事業が動き出したら各期間に設定した目標をそれぞれ達成しているのかを評価しましよう。
進行状況に遅れをとっている場合はなぜ達成できていないのかを明確にすることで、事業に関わるチームの士気を上げて再び目標達成に向けて進み出すことができます。達成している場合には達成感による士気の高まりが見られるため、チームで達成状況を確認することはとても重要です。
目標設定の段階で数値化して明確に示しておくことで、達成状況を具体的に確認することができます。
まとめ
SDGsが世界で大々的に掲げられ始めたため、政府をはじめとする団体だけでなく個人が環境や社会問題に取り組む動きが目立ち始めています。
企業もその団体のうちの一つであり、日本政府までもが環境や社会を配慮した法改正に取り組むなどの動きを見せているため、企業はサステナブル経営の流れに逆らうわけにはいきません。
今回の記事で紹介した博報堂の調査からも、若者の環境や社会問題への関心が強まっていることがわかるため、人材を確保するためにはサステナブル経営を意識せざるを得ないでしょう。
今回紹介したステップを利用しながら、サステナブル経営を目指してください。
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